上塗りの布目
漆塗りには様々な技法が有ります、その一つに布目塗りが有ります。基本的に麻布を貼って仕上げますが、一般的な塗りを見てみますと、布の目が、つぶれていて折角の布の目の表情が死んでしまっている物や、逆に布の表情が出すぎていて荒々しい物が有ります。又、大きい面積の物は上塗りの難しさから、磨いた呂仕上げの物が多いです。私自身は、布の表情が柔らかい中にも、一つ一つの繊維の太い所細い所が良く判る感じにした、上塗り仕上げが好きです。只、大きい面積の物を、きれいに上塗り仕上げにする事は非常に難しい事です。
布摺り
布目を活かした技法に布摺り(ぬのずり)と言う技法が有ります。麻布の表情が最も表現出来る技法で、繊維の太い・細いが良く判り、貼った麻布全体の様子を表す事が出来ます、貼る布は出来るだけ繊維の細い物の方が、良い感じに仕上がります。強度にも優れた塗りで、傷が付き難い塗りです。私個人も、上位に上げる好きな塗りの一つです、画像は黒より少し赤みをおびた、ウルミ色に仕上げた布摺りです。
◆摺り仕上げについて
目止め摺り仕上げ
木地に漆を簡単にかける方法に、摺り(拭き漆)仕上げがあります。その方法にも様々なやり方が有ります、一般的に多いのが、漆をそのまま数回摺り重ねて行くやり方です、もう少し手を掛けるとならば、途中に目摺り錆をして、少し導管を埋める方法になります。更に手を掛けると言うと、画像の様に導管を完全に埋めて、全体を均一な面に仕上げる方法です。途中に、最低でも3回の異なった方法の目止めを施し、後半の2回はその都度水研ぎをして、完全な面に仕上げます。面が均一に出来たら。その後の摺り途中にドウズリ磨きをし、更に摺りを重ねて仕上げて行きます。一見すると塗り仕上げの様に見える技法ですが、摺る回数や途中の目止め等を含めると、大変手間と時間の掛かる技法です。只、予算が有る上での事ですが、耐久性を考えると究極の摺りと言えるかもしれません。
投稿された内容の著作権はコメントの投稿者に帰属します。