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◆塗り刷毛について
塗り刷毛について
塗り刷毛は一般的に市販の物を使いますが、私は自身で作ったり加工します。画像の刷毛は、幅2寸の物で大物を塗る時に使う刷毛でして、毛厚が厚かったので薄くして作り変えた所です。漆と糊を混ぜて接着し、麻紐を巻いてクサビを打ち込んで締めた状態です。確り乾いたら削って加工します。使う刷毛も2分から2.5寸まで有りますので、使うクサビも各サイズを作らなければならず、総数350本位有ります。おまけにケヤキや楢等の堅木でなければならないので、刷毛を作るよりクサビを作る事の方が大変です。


◆刷毛つくりについて
刷毛作り 1
作り直しを頼まれた漆刷毛です。短い毛板に継ぎ足し板を付けて、新たに作り直すところで、元々の板を剥いで毛板の状態にし、各部材を寸法に取り終えたところです。部材は桧の官材です、普通の民材ではどうしても良い仕上がりになりません。画像の刷毛は3寸刷毛で、大物を塗る時に使います。小物しか手がけない人が見れば、その大きさに圧倒されると思います。


刷毛作り 2
内側に米糊漆や麦糊漆を調合して配り、部材の板を囲むように付けます。その後、麻紐をギュウギュウに巻いて行きます、この時かなり強めに巻かないと、仕上がった時、腰の弱い刷毛の仕上がりになってしまいます。この時は、手のひらや、咥えて巻いたりするので、歯が痛いです。画像は、その後、締めと横から見て真直ぐになるように、クサビを打ち込んだ状態です。確りと固まるまで時間を於きます。


刷毛作り 3
クサビを打ち込んで数週間於いたら、麻紐とクサビを取り、鉋で削り仕上げていきます。この時、刷毛が反っていたり、ねじれたり、湾曲していると、板厚が均等に削る事が出来ず、うまくいきません。人によっては、最初に平板のみを重し等を使い着けて、乾いた後、カンナで削りながら、横から板厚を調整し、その後側板を着けるようです。けれども、それでは、毛板を確り締める事が出来ないので、私自身はお勧めしません。最後に刷毛が通っている長さが判るように、印の横跡を付けます、そうする事で、後何回切り出す事が出来るとか、そろそろ次の刷毛を準備しなければと言う、目安になるからです。


◆使用している刷毛について
使用している各種刷毛
漆を塗るうえで、様々なサイズや種類の刷毛を使います。漆器産地と言われる処は、一般的に専門分野毎に仕事をしており、大物を手がける人、小物を手がける人、小物も下塗り専門・上塗り専門等の分野毎に手がけています、刷毛もそれ用の物を主体に使っています。私は、全ての分野の仕事をしていますので、刷毛もそれなりに必要となり、現在の数になりました。画像左の箱から、乾漆刷毛5本・胴摺り刷毛3本、その上は1.3寸以上の下塗り・上塗り用刷毛が計11本、その横は、自分で作った鎌刷毛含め、2分〜1.2寸までの下塗り用刷毛が20本、右の箱が自分で作った鎌刷毛含め、2分〜1.2寸までの上塗り用刷毛が20本、総合計59本です。特に、塗り刷毛は黒は黒用、赤は赤用等それ専門で使わないと、使う時に、前の時に使って染み込んでいる漆が出て来て、混ざってしまい使いづらいので、どうしてもこの数になりました。まだまだ増える可能性も有ります、ひょっとして刷毛フェチかも?。


◆刷毛の切り出しについて
刷毛の切り出し 1
刷毛を使えるようにするうえで、難しい作業の一つに、毛の切り出しが有ります。毛板の厚みや、使用する漆の粘度、刷毛を使用する部分により、切り出す角度や長さが変わりますので、熟練の人でも難しい作業です。切り出すには、鉋(かんな)の刃を使い、一気にズバッと切り落とします。深く刃を入れ過ぎてもいけないので、片側を3回位を目安に入れて仕上げます。ちなみに、23才で父を亡くした後に、何回も切り出しを覚えるだけの為に、2寸刷毛本通しを1本駄目した事が、今では切り出しも苦にならない経験に活かされたと思っています。


刷毛の切り出し 2
布や和紙を貼って漆を塗った、刷毛を使われている方がいますが、私はお勧めしません、何故なら切り出しの時に、鉋刃を傷めるからです。鉋刃は切り出しの時、普通の角度だと喰い込みやすいので、より鋭角に研いで有ります、その為塗ってある漆の性で刃が傷つきやすいからです。それと刷毛自体が厚くなり微妙な塗り感覚が判りづらいですし、塗った事で滑りやすくなり、持ちづらくなるからです。


◆刷毛の作り変えについて
刷毛の作り変え 1
刷毛の作り変えをよく頼まれますので、以下に大まかですが記載します。今回は3寸刷毛の半通しを、2寸と1寸の2本に作り変えてほしいとの事で引き受けました。本通しを半通しや1/3通しに作り変える事は比較的楽ですが、巾を割る事は慣れていないと難しい作業です。


刷毛の作り変え 2
鉋を使い周りの板を極限まで削って行き、毛板の状態にします。その後、縦割りにするのですが、かなり切れる刃物を使わないと上手く行きません。今回の3寸刷毛の毛厚だと、2寸や1寸の刷毛で使うには厚いので、刃物を使って薄くしますが、やはり切れる刃物を使わないと毛がバラけてしまいます。


刷毛の作り変え 3
使用していない刷毛でしたら、そのまま板で包んでくさびを打ち込んで行けば良いのですが、今回のように使用していた刷毛は硬化防止の洗いの油が染み込んでいます。そのまま包んで行くと、上手く接着してくれないので、毛板を灯油で何回か洗い新聞紙等で包んで重石等を乗せ、油分を抜きます。その後、充分乾燥させた後に板で包んで刷毛に完成させます。画像の刷毛は、依頼者の希望で長めの切り出しです。


◆切り出しの大事なポイントについて
両端の毛先
刷毛の切り出し・叩き出す時に大事なポイントが幾つか有り、その一つに叩き出す毛の端の部分が有ります。画像は2本共1.5寸刷毛で、左側は私の物で叩いてから2年程使って来ている物で、右側は作り替えを頼まれた物です。白丸の端の毛先の違いが良く判ると思いますが、頼まれた物の方は毛先がピッとした、角が綺麗に取れてなく、欠落した感じになってしまっています。使うには大して苦にならないと思うでしょうが、実際使用してみると、その塗り面の違いや、指物等の箱物の中を塗った場合の、隅の方の漆の切れは明らかに違います。叩き出しを簡単に考える方が居る様ですが、切り出しの仕上がりで、その人の技量の一点を計りしれます。

両面の端毛
刷毛の切り出しの、もう一つのポイントに両面の端毛の処理に有ると思います。その部分があまりにも短くしてしまうと、腰の無い刷毛になってしまい、薄く漆を延ばし難くなります。希に毛堅めが弱い刷毛等は、特にその部分を確り残して作り、叩き出して使ってみると、その違いがはっきり感じ取れます。画像左は私の使用している刷毛で、右側は作り直しを頼まれた人の刷毛です。


◆刷毛の切り出し・叩き出しについて
塗り刷毛の切り出し・叩き出しについて、様々な方が様々な方法で行っています。此処では、私が普段行っている方法を、大まかな手順で説明したいと思います。
刷毛の切出し手順
\擇衢遒箸靴神菽爾髻砥石を使って平滑な面にする。鉋刃を使った切り出しが慣れると、毛先の頂点が一直線状に切り出せるので、この作業は不要になります。只、出来るまでは数十回〜数百回しないと出来ないかもしれません。
鉋刃を使って毛先を切り出す。この時に、前出の「刷毛の切り出しについて」の項目で、布や和紙を貼って漆を塗るのは、お勧めしないと言う理由が、この時の作業で刃が傷むからです。
L喟茲鰺遒靴燭蚓沼θ弔鮖弔掘∪擇蟒个靴燭つ垢喫の前後の平板を取り除く。
い蓮∪睫世琉戮鉾弔魏昌澆瓩鬚靴進ですが、毛先を落す前に画像の様に、先に切り出したい長さ分、前後板を落す方が居ますが、私はお勧め致しません。何故なら、毛堅めが弱い毛板は、この後の毛先の落としの作業で、毛がバラケ易くなります。長年使用して来た刷毛も、僅かながら硬化防止の油が浸透している性で柔らかいから、同じような事が言えます。又、毛厚が薄い刷毛は、毛先を切り出す時に、僅かですが「シナル」ので刃が食込み易く、「えぐれる」様な切り出しに成りかねないからです。

刷毛の叩き出し手順
ノ沼θ弔法∪擇蟒个靴芯垢喫の所に小刀で僅かに切り込みを入れる。切り出した毛の付け根の部分に、凧糸を或る程度確り3〜4回巻く。
Ψ木の板の上で、先切金槌等で解す様に叩いて行きます、この時にあまり強く叩くと毛が傷みます、焦らずゆっくり行う事が大事です。毛固めの状態にもよりますが、硬めの刷毛でしたら、1.5寸刷毛で最低でも2時間位は掛かるでしょう、それ以上の広い刷毛でしたら、4時間5時間なんて事も有ります。凧糸を巻いたのは、強く叩く事が有った場合に、側板が弾けてしまうのを防ぐ為です。イ硫菫で切り込みを入れたのは、切り出した毛を叩いて行くと、毛先は必然的に横に広がって行きます。その為、全体に毛が解れて行くに従い、自然に外れる様に落ちます、それなら最初から外してしまえばと思うでしょうが、それだと叩き出し作業の時、保護する部分が何も無く、「切り出しの大事なポイント」でも記載している、両端の毛先を綺麗に残す事が難しくなるからです。
Я澗里暴縞解れたら、洗い出しをします。昔ながらの方法ですと、初めに米糊を着けて洗い出し作業を繰り替えすのでしょうが、現在は石鹸と言う優れた物がありますので、最初から石鹸を付けて、手の平で泡立てる様に洗い、濯ぎ落としをします。その作業を数十回繰り返します、ちなみに私は途中で、小さな亀の子束子に石鹸を着け、切り出した根元の部分に当たる様に、細かな動きで洗う作業をします。充分乾燥したら、突き出し作業の事を考えて、根元の板の先端を斜めに落します。希にかなりの巾で斜めに落す方が居ますが、根元に近い板の所が、必然的に薄い部分が長くなり強度が無くなるからお勧めしません。40°前後位が良いと思います。その後、油で突き出し洗いを数十回繰り返します。その刷毛を初めて使う場合は、漆の突き出し洗いも数十回行った後、初めて塗りに使います。


◆刷毛の始末
使い終えた刷毛は、必ず油で洗い出しを数回繰り返して仕舞います。長期に渡って使用しない場合も、途中に洗い出しをするか、いっその事完全な洗い出しをし直した方が良いかもしれません。画像左は作り直しを頼まれた2寸刷毛の毛先ですが、漆でガチガチに固まっています。少しでも油の洗い出しが不完全ですと、根元の方から少しづつ固まりだして、使い辛い刷毛になってしまいます。右の方は、私の使っている一部の刷毛の1.5寸・1寸・8分で、使い出してから3年〜5年位経っています。綺麗に洗い出しをして行けば、まだまだ使用して行けそうです。左の様な状態は、余りにも酷い状態ですが、漆刷毛は漆器作りのうえで最も重要な道具の一つです、その刷毛を大事に扱えない事は、作り手として申し訳ない感じがします。
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