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木曾漆器について
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60 | 個展やグループ展の予定は有りますでしょうか?。 |
以下はカテゴリ内に掲載されているFAQです。
お問い合わせの件ですが、当方は父の代から単なる作り手でして、裏に工房を構え、表は一般的な住宅です。その為、店舗を持っていませんので、品物は展示していなく、普段は箱に入れて置いてあります。来られた方には、表の座敷か仕事場で、箱から出して見て頂いております。又、お見せしたから「必ずお買い求め下さい」とか、決してお勧め致しません、お客様のニーズに合わない場合も有るという事は、重々承知しております。そんな感じですが、宜しければ気軽にお出掛け下さい。
着いて品物を拝見しましたら、樹脂のお弁当箱にカシュー塗装の刷毛目塗りを施した物でした。塗れない事は有りませんが、「正直塗り直しても買った時より高い金額が掛かりますよ」とお話して、今回は止める事になりました。漆器に精通していない一般の方は、木製か樹脂かの見分けがつかないとお聞きした事が有ります、今回の事例もそうでした。見分ける方法の一つとして、品物自体に指を弾く様に軽く爪の部分を当てるか、ドアをノックする様に指の第二関節で軽く叩いてみて下さい、木製の物と比べるとよく判りますが、樹脂の物は薄っぺらな甲高い音の響きになります。あくまでも極簡単な見分ける方法の一つです。
ご質問の件ですが、お使いの物がどの様な物なのか見てみないと判りませんが、各産地や作り手によって用いる物が違うと思います。輪島では地の粉と言われる珪藻土を焼いた物を主に使いますし、会津や京都等では山科の砥の粉を主に使われていて、夫々の処で其れを錆と称して使っていると思います。夫々が工夫を凝らし使っていて、夫々に利点が有ると思います。一方、当地では錆土と言われる地の粉を用い、堅地作りには欠かせない材料で、其れを錆と称しています。私自身も他の材料を使った事が有りますが、作業性の良さ・強度等比べても、当地の錆土に勝る物は無いと感じ、他の物を用いる事は止めてしまいました。実際に使って見ないと、その良さは判りませんが、長年使って来た者からこそ言える確信が有ります、純粋に錆と言えるのは当地の錆土だけだと・・・。
ご質問の件ですが、荒味を漉した「漉味」でも可能です、但し、基本的には荒味の方が理想的です。経験からして、荒味の中に含まれている、僅かな木の皮や形成層部位の中の成分が有った方が、良い漆に仕上がる感じがします。又、それらの塵を一緒に混ぜる事で泡立ちも良く、黒まる時間も早くなります。それと、生漆の時より漆がサラサラの「緩い」漆になるので、漉す作業も黒目た後の方が楽に出来ます。
ご質問の件ですが、確かに今年の様なジメジメと湿気が多く、しかも気温が高い日が続くと、予想より乾きが早すぎて、朱系統等は黒ぽくなったり、最悪は縮んでしまう事に成りかねないですね。調整する方法としては、強制的にするなら、エアコンを取り付けて湿度を下げるとか、焼き漆(不乾漆)を作って調合し、乾きを調整する事等だと思います。ちなみに、私の場合は両方共していなく、手黒目漆の精製で調整しています、今持っている透き漆で、最も乾きの早い物は、今の時期なら15分で乾き初めますし、最も遅い物は朝塗って翌日の朝に息が少し来る位です。ですので、これ等を調合する事で、乾きの早い時期・遅い時期に対応しています。